ハウスメーカーの家と大工さんの家の違いとコスト

一般の方がみて、わかりにくい違い部分を載せたいと思います。

ドア枠、壁厚

これは意外と知っているようでわからないのですが、間仕切りの壁の厚みのことです。
ドアを開けて、その枠の大きさを計り、それから、ちり分(枠の方が10~15mmほど出ている部分)を引いた残りの大きさが壁厚です。
これに関しては大きくなければならないということはありませんが、昔から大工さんがする家は柱3寸5分角(105mm)に土打(15~20mm)を両面に打ち、それに耐火ボードや仕上げ材を打つ(5.5mmベニヤ~12.5mmボード)を基本としてこました。
すると、壁厚はボード張りで160mmから170mmになります。
この大きさになるとドア枠の大きさもノンケーシング枠(枠だけで両面にケーシングとよばれる額縁が付いてないタイプ、通常一番大きな枠で180~171mmの大きさ)では使えなくなり、ケーシングタイプの枠(枠を付けて、壁を貼ってから、ケーシング(額縁)を取り付けるタイプ)を使うことになります。
当然、ノンケーシング枠よりケーシングタイプの枠の方が値段が高く、枠の幅が小さくなるほど安くなります。

今、木造ハウスメーカーは通常太鼓張りといって、柱そのままにボードを止める場合が多くその場合は壁厚は105mm+25mm(耐火ボード12.5mm裏表貼り)で壁厚130mmとなり、ノンケーシング枠155mmでいけます。

軽量間仕切りで仕切りをするハウスメーカーなどは50mmとか60mmの軽間(昔から店舗やホテルの仕切りに使われていた亜鉛メッキされた間仕切り材LGSスタッド材)は額縁巾寸法90mm~115mmぐらいのがつかわれています。

壁の土打などもなくせば、コストダウンとなりますし、枠の巾も小さくすればするほどやすくなります。(ドア自身は同じものでいけます)

窓額縁

これも壁厚と大きく関係しています。
通常、木造ではサッシが半外タイプ(サッシ枠が取り付けた位置よりやや中に入っているタイプ)をつかうと105の柱で内部土打+耐火ボードで外部合板打ちをすると、だいたい135mmぐらいの額縁の巾となりますが、中の横桟(土打)を省くと、120mmぐらいになりますし、もっと少ないところもあります。
それと、大工さんがしてきた家では四方とも額縁があるのが普通(デザイン上一方のみという場合もあります)でしたが、最近は下枠の台のみであとはクロス巻きの新築もよく見ます。
デザイン上なのもあるでしょうが、これも減らすことによりコストダウンとなってます。

玄関上框(あがりかまち・玄関の床とタイルの縁切りのところに入っている大きめの木)

これは昔は家の顔ともいえる部分についていることもあり、大きくきれいな方がよいとされてきました。
今では既成のフローリングと合わせることもあり、通常150mm×90mmのおおきさです。和風では既成サイズで180mm×90mmというのもあります。
これは、ハウスメーカーのみなのですが背丈90mm×巾60mmぐらいのがあります。
このサイズは通常の建材屋では売っておりませんし、カタログにものってませんから、ハウスメーカーオリジナルなのでしょうが、小さく作った分だけやすいのでしょう。

巾木・廻縁(はばき・まわりぶち)

床と壁の境に打ってある木(巾木)、これも通常60mm前後で小さければおかしいとされてきたもので、昔の家では90mmや120mmあるようなところもある。
私たちが手に入るものでは57mmぐらいが一番ちいさいものでそれ以下は見たことがないがハウスメーカーオリジナル商品では40mmぐらいの背丈のものがある。
廻縁(天井と壁の見切りの木)はないところが多くなっている。壁と天井に同じ柄のクロスを貼り、廻縁をつけずに施工すると、部屋が広くみえる視覚効果はあるが、それだけの意味ではないような感じがする。

全体の形状と手間

現場で仕事をする人にとっては、家、間取りは大きくシンプルなのが一番やりやすいです。現実、家を安く建てる方法の本をみるとそうすることがコストダウンにつながると書いてあります。
でも、下請け職人はあんまり関係ないのが現実です。家の坪数(平米数)×いくらという請負工事だからです。
簡単なのがあたればいいけど、複雑な家でも単価は変わらないというのが多いです。
元請けメーカーは材料を減らせばその分浮くが、手間賃については複雑な家でも変わらないようになってます。
すべてのメーカーがそうではないのですが、現実この請負坪単価が一時の半分以下ぐらいになっているところがあります。
一つ一つの単価というのは、難しいです。フロアー貼りをみても、通常は巾303mm巾×長さ1820mmなのですが、巾が小さく、長さが長くなるほど貼りにくいですし、小幅の無垢板なんかをはると時間にして3倍も4倍もかかることもあります。
営業マンや監督などは知っている人もいますが、基本的に自分では施工しないので、そういう手間のかかることはお構いなしです。

ハウスメーカーの家と大工さんの家の違いは他にもあります。大工さんは経験と勘で構造材の大きさを決めますが、ハウスメーカーは計算し、大きさをギリギリまで落としているところがおおいです。
経験と勘だったら、計算すると足らないようにならないかって思うかもしれませんが、普通ですと大きすぎることのほうが多いみたいですし、
若い設計士が書いた図面が強度的にもたない図面だったり、階段上がったところで頭を打つ設計だったり、間取りがすごくミョーな感じだったり、それを指摘するのは大体職人です。
頭だけでは分からない部分、経験によってわかる部分はあると思います。

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